「お花見」の盛りを過ぎましたが、冷たい雨となった4月14(日)、
神戸市「湊川神社」に於いて定例交流会(兵庫県支部)を開催しました。
悪天候にも関わらず、お世話になった大先輩の方々や、いつも参加される顔馴染み
の方々がたくさん参加されて、大変嬉しく思いました。
今回の鑑賞刀は、著名な刀工あり、また出会いの稀少な刀工ありと
大変勉強になりました。
参加者は真剣な眼差しで、鑑賞や鑑定に没頭されていました。
鑑賞・鑑定刀は以下のとおりでした。
1号刀:備前康光(応永備前・室町初期)
種類:太刀 鎬造り 庵棟 刃長:2尺3寸1分
刀姿:身幅やや細く、元先の幅差頃合い、中鋒、反りつき、重ね厚い。
地鉄:板目肌に杢目まじり、地沸つき、直ぐ映り立つ。
刃文:中直刃調、小互の目・小丁子まじり、逆がかり、小沸つき、
刃中に金筋・砂流し頻りに入る。
帽子:直ぐ入り、小さく尖りごころに返る。
彫物:表裏に棒樋を掻き、鎺上で丸留めする。(磨上の為、鎺下になる)
備考:非常に格調の高い「直ぐ調・応永備前」の名品です。
2号刀:出羽大掾国路(山城国・桃山期)
種類:脇指 平造り 三つ棟 刃長:1尺3寸
刀姿:身幅広く、寸法のび、反り浅く、重ねやや薄い。
地鉄:板目肌に杢目まじり、肌目立ち、細かな地景入り、刃寄り流れる。
刃文:浅い湾れ、互の目・角ばる刃まじり、処々逆がかり、沸よくつき、
引き締まった金筋・砂流し入る。
帽子:浅く湾れ込み、突き上げ、先尖り心に返る。(三品帽子風)
備考:国路の真骨頂「志津写し」の傑作です。
3号刀:備前盛光(応永備前・室町初期)
種類:刀 鎬造り 庵棟 刃長:2尺1寸5分
刀姿:身幅尋常、元先の幅差頃合い、中鋒、反りつき、重ね厚い。
地鉄:板目肌に杢目まじり、地沸つき、地景入り、直ぐ映り立つ。
刃文:互の目主調に丁子・腰開きの乱れまじり、匂い勝ち小沸つき、
細かな金筋かかる。
帽子:乱れ込み、くびれて小さく尖りごころに返る。(蝋燭の芯風)
彫物:表裏に棒樋を掻き、鎺上で丸留めする。
備考:平和な世相が表れた、華やかな「乱れ調・応永備前」の典型作です。
4号刀:播磨大掾忠国(肥前国・江戸最初期)
種類:脇指 平造り 庵棟 刃長:1尺2寸2分
刀姿:身幅広く、寸法のび、反り浅く、重ね厚い。
地鉄:小板目肌よくつみ、細かに肌目立ち、地沸厚くつく。
刃文:短い焼き出し、焼き高い丁子・互の目まじり、処々に変形刃入り
乱れの谷・足先に沸が凝り、その先端が一定線で揃って止まる。
沸よくつき、金筋・砂流し盛んに入る。
帽子:乱れ込み、小丸、乱れて深く返る。
備考:肥前刀の中、最も覇気ある大胆、放胆な作風です。
5号刀:越後守包貞(摂津国・江戸初期)
種類:刀 鎬造り 庵棟 刃長:2尺3寸
刀姿:身幅広く、元先の幅差開き、中鋒、反り浅く、重ね厚い。
棟降ろしが急勾配、平肉枯れる。
地鉄:小板目肌よくつみ、流れ柾まじり、地沸つく。
鎬地の柾が目立つ。
刃文:大互の目に湾れまじり、処々濤瀾乱れとなり、小沸よくつき、
砂流し頻りにかかる。
帽子:焼深く、直ぐに入り小丸に返る。
備考:「濤瀾乱れ」を取り入れた貴重な初期作です。
鑑賞・鑑定後に本位田副会長より、大変丁寧な解説がありました。
参加者は、メモを取ったり、頷いたりと熱心に聴講されていました。
今後の鑑賞や鑑定の大きな糧になったことと思います。
お互いに年一度の交流会ですが、協力し会って発展を目指します。
ますます楽しく、充実した交流会になります様願っています。