鑑賞会(5月)を開催しました。

 

  「夏」を想わせる様に気温がどんどん上がった5月19(日)、

  市立「花の北・市民広場」に於いて定例鑑賞会(5月)を開催しました。

      

      参加者は35名となり、大変盛況で活気に満ちた会になりました。 

    また新会員や講座受講の方の参加もあり、大変嬉しい出来事でした。

             

 

 

  今回の鑑賞刀は、著名な刀工あり、また出会いの稀少な刀工ありと

  大変勉強になりました。

  参加者は真剣な眼差しで、鑑賞や鑑定に没頭されていました。 

  

  鑑賞・鑑定刀は以下のとおりでした。    

  

1号刀:来 国光 (山城国・鎌倉末期~南北初期)

    種類:短刀 平造り 三ツ棟  刃長:8寸7分

    刀姿:身幅やや広く、寸法ややのび、反り無し、重ね厚い。

    地鉄:小板目肌よくつみ、地沸つき、細かに地景入り、沸映り立つ。

       緩んだ大肌(来肌・裏物打ち)はいる。

    刃文:細直刃、小沸よくつき、匂口明るく冴える。

       細かな金筋・砂流し入る。

    帽子:直ぐ入り、小丸に返る。

    彫物:(表)素剣 (裏)腰樋・添樋

      備考:刀姿、地鉄、刃文、帽子、彫物などすべてに

       「山城物」の優雅、品格が溢れた名刀です。

       「国光」は来派の代表工の一人で、後の名工達が規範にしています。

       「左文字」や「肥前刀」の作風は、この「国光」を手本にしています。

       それだけ国光の作風が多彩で、優れていることの証しです。   

 

2号刀:備州長船基光 延文三年三月日 (備前国・南北中期)

    種類:脇指 平造り 庵棟  刃長:1尺1寸

    刀姿:身幅広く、寸法のび、反り浅く、重ね薄い。

    地鉄:板目肌に杢目まじり、肌目立ち、地沸つき、直映り立つ。

    刃文:おおどかな浅い湾れ、小互の目まじり、小沸よくつき、

       足・葉入り、金筋・砂流し頻りにかかる。

    帽子:浅く湾れ込み、丸にやや深く返る。

    彫物:(表裏とも)刀樋・添樋

    備考:正に「相伝備前・兼光」を彷彿させる基光の傑作です。

       「悠々とした湾れ」に長船正系の品格が溢れます。

       基光の「湾れ調」は稀少ですが、「長船工房」の技術共有が窺えます。

       北朝の主役「足利尊氏」の死去(同年4月30日)と同時期の製作です。       

 

3号刀:備州長船忠光 文明八年八月日 (備前国・室町後期)

    種類:短刀 平造り 庵棟  刃長:6寸

    刀姿:身幅狭く、寸法つまり、内反り強く、フクラ枯れ、重ね厚い。

    地鉄:板目肌よく詰み、杢目まじり、地沸つき、直ぐ映り立つ。

    刃文:直刃調に小互の目・小湾れまじり、小沸つき、匂口明るく冴える。

       細かな金筋かかる。

    帽子:焼深く、直ぐ入り、小丸に長く返る。

      備考:直刃の名手「修理亮忠光」の鎧通し(注文打ち)です。

       流石に地鉄、焼刃など「格の違い」が現れています。

       戦国時代の魁となった「応仁の乱」終結(文明9年)の前年作です。  

 

      

  

 

4号刀:備前国住長船源兵衛祐定 天正三年八月日 (備前国・室町末期)

    種類:短刀 平造り 庵棟  刃長:7寸4分

    刀姿:身幅狭く、寸法つまり、内反り強く、フクラ枯れ、重ね厚い。

    地鉄:小板目肌よく詰み、地沸つき、細かに肌目立つ。

    刃文:互の目主調、複式互の目交じり、沸よくつき、匂口明るく冴える。

       金筋・砂流し頻りにかかる。

    帽子:焼深く、乱れ込み、先尖りごころに深く返る。

    備考:末備前随一の「地鉄」と、真骨頂「複式互の目」に

       注文打ちへの「誇り」と「気概」が溢れています。

       「長篠の合戦」(同年5月21日)と同じ時期の製作です。

 

5号刀:肥前国住藤原忠廣 (肥前国・江戸初期)

    種類:脇指 鎬造り 庵棟  刃長:1尺3寸5分

    刀姿:身幅やや広く、元先の幅差頃合い、中鋒、反り頃合い、重ね厚い。

       鎬筋やや高く、調和のとれた姿。

    地鉄:小板目肌よくつみ、地沸つき、細かに肌目立ち、

       精美で強い「米糠肌」となる。

    刃文:中直刃、浅く湾れ、小沸つき、匂口明るく冴える。

       部分的に沸が刃縁でピタッと止まり「帯状」となる。

    帽子:直ぐ入り、フクラにそって平行に、小丸に返る。

    備考:「初代忠吉」の後期作。

       受領銘「武蔵大掾」を切らない献上銘です。(「廣」第1画が菱形)

       地鉄は、後代とほぼ同様な米糠肌となっています。

       刃文は、僅かに湾れ、匂口に広狭つき、細かな足、葉入る等

       「忠吉」期の特徴が窺えます。

         後代には無い「覇気」と「貫録」とに溢れた傑作です。

 

      

  

 

  このところ爽やかな五月晴れが続いていますが、沖縄では梅雨に入った様です。

  実家の庭先では、紫陽花が小さな蕾をつけ「梅雨入り」を待っている様です。

  

  ご健康には充分注意して頂き、次回も楽しい一日になります様願っています。

  次回の日程等は、「HPお知らせ」や「ご案内葉書」でお知らせ致します。

 

 

 

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