節気「小雪」を過ぎましたが、まだ陽射しが穏やかな11月24日(日)
市立「花の北市民広場」に於いて定例鑑賞会(11月)を開催しました。
参加者は28名となり盛況な鑑賞会になりました。
また新たな会員や講座受講の方の参加もあり、大変嬉しい出来事でした。
今回の鑑賞刀は、著名な刀工あり、また出会いの稀少な刀工ありと
大変勉強になりました。
参加者は真剣な眼差しで、鑑賞や鑑定に没頭されていました。
鑑賞・鑑定刀は以下のとおりでした。
1号刀:大磨上(長重) (備前国・南北中期)
種類:刀 鎬造り 庵棟 2尺4寸7分
刀姿:身幅広く、元先の幅差開かず、中鋒のび、反り浅く、重ねやや薄い。
地鉄:板目肌に杢まじり、肌目立ち、地景はいり、淡く映りたつ。
刃文:直刃調に小互の目・角互の目・尖り刃まじえ、足・葉はいり、
沸よくつき、金筋・砂流し頻り入り、地に湯走りかかる。
帽子:乱れ込み、先尖り心にやや深く返る。
備考:豪壮な刀姿、太い地景はいる地鉄、沸強く働きが頻りにかかり
相州色が強く表れた「相伝備前」の特徴・見所が現れています。
2号刀:備州長船忠光 文明十五年六月八日 (備前国・室町後期)
種類:脇指 鎬造り 庵棟 1尺8寸
刀姿:身幅尋常、元先の幅差小さく、中鋒、先反りつき、重ね頃合い。
鎬地を削ぎ、鎬筋やや高い。
地鉄:小板目肌よくつみ、地沸つき、淡く映り立つ。
刃文:直刃調に小互の目・小丁子まじり、足・葉はいり、小沸つき、
細かに金筋・砂流しかかる。
帽子:直ぐ入り、小丸に返り、焼き深い。
彫物:草・倶利伽羅 文字(八幡大菩薩)
備考:寸法詰まり、先反り目立ち姿、精美な地鉄、明るく冴えた刃文、
腰に詰まった独特の彫物など「末備前」注文・入念作の特徴です。
3号刀:備州長船盛光 応永十九年八月日 (備前国・室町初期)
種類:脇指 平造り 庵棟 1尺5寸5分
刀姿:身幅尋常、寸法のび、反り浅く、重ね厚い。
地鉄:板目肌に杢まじり、やや肌目立ち、直ぐ映りたつ。
刃文:互の目・丁子まじり、処々腰開きの乱れとなり、足・葉入り、
匂い勝ち小沸つき、細かな金筋、砂流しかかり、匂口明るく冴える。
帽子:乱れ込み、先小さく尖り心に返る。
彫物:刀樋(二筋・区上で丸止め)
備考:引き延ばした様な刀姿、映り立つ地鉄、腰開きの乱れ(富士の裾野)、
小さく尖る帽子(蝋燭の芯)、刀樋の丸止めなど
「応永備前」の見所・特徴が満載です。
4号刀:播州明石住藤原吉長 永禄八年二月日 (播磨国・室町後期)
種類:刀 鎬造り 庵棟 2尺1寸
刀姿:身幅尋常、元先の幅差開かず、大鋒、先反りつき、重ね極薄い。
鎬地を大きく削ぎ、鎬筋高い。
地鉄:板目肌に杢まじり、やや肌目立ち、淡く映りたつ。
刃文:互の目・複式互の目・丁子・尖り刃まじえ、足・葉入り
小沸つき、金筋・砂流しかかる。
帽子:乱れ込み、丸に返り、焼き深く、やや長く返る。
備考:天文頃(室町後期)、備前から播磨へ移住した刀工で、
先反り・大鋒・鎬地を削いだ姿、淡く映り立ち、複式互の目まじえ、
小沸ついた「末備前」の作風がその儘です。
5号刀:備州長船法光 永正八年吉日 (備前国・室町後期)
種類:短刀 平造り 庵棟 7寸1分
刀姿:身幅狭く、寸法詰まり、反り無し、重ね極厚い。
地鉄:小板目肌よくつみ、地沸つき、淡い映りたつ。
刃文:互の目・丁子・複式互の目まじえ、足・葉はいり、小沸つき、
金筋、砂流しかかり、地刃明るく冴える。
帽子:乱れ込み、小丸に返り、焼き深く、返り深い。
備考:独特の「鎧通し」姿に、精美な肌合い、淡い映りたち、
互の目主調の乱れに、沸の働きがかかり、匂口明るく冴え、
「末備前」入念作の傑作です。
「師走」もすぐ其処、いよいよ本格的な冬に向かっていきます。
冷たい風が吹いてくる季節になると、大嫌いだった夏の方が好きになります。
今年は「暖冬」でしょうか?それとも「寒冬」でしょうか?
ご健康には充分注意して頂き、次回も楽しい一日になります様願っています。
次回の日程等は、「HPお知らせ」や「ご案内葉書」でお知らせ致します。